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ドSな御主人様

第1章 出会い

部活動に励んでいる生徒の声が聞こえる。今この教室には私しかいない。


私は今まさに帰ろうとしているところだった。バッグを持ち、教室から出ようとした瞬間もう一つの方の扉が、ガラガラと音をたてて開いた。



「…ちょっと田沼さん。何帰ろうとしてんの?」

「あ、いや。えっと……」



入ってきたのは五人の女子生徒。私の前に立ちはだかり、獲物だと言わんばかりの目でこちらを見ている。



「だから、何帰ろうとしてんのって言ってんのよ!」



リーダー格の女子生徒が私の持っていたバッグを乱暴に取りあげて、適当な所に投げ捨てた。



「あんた、アタシの彼氏盗っておいてよく普通にしてられるよね!」



その言葉にピクリと反応する自分がいる。


違う違う。あれは向こうから無理矢理…


って言ってやりたい。けど、どうせ私が悪者になるんだろうね。事実なのに、言い訳に聞こえてしまうんだろうね。




「ちょっと、田沼!黙ってないで何か言ったらどうなのよ。アンタのせいで恵梨が彼氏と別れる羽目になったんだから!」

「そうよ!どうせあなたから誘ったんでしょ?ちょっと顔が可愛いからって調子乗らないでよね!」



恵梨の友達一人が私の肩を乱暴に掴み、突き飛ばした。


私はロッカーの角に頭をぶつけて、その場に倒れ込んだ。


い、痛い。


声には出さないけど、スゴく痛い。

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