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ドSな御主人様

第2章 同居

「わぁー……。随分とザックリしてるね」

「あ、すみません。昨日のインパクトが強過ぎて…」



そうだよ。私昨日襲われたんだった。


確か、クラスメイトに売られたとか言ってたっけ。そうだとしたらあの人たちだね。




「……逆恨みもいいとこだわ」

「え?どうしたの?」

「あ、いや。何でもありません」



危ない危ない…。つい口から漏れてしまった。


今日は休日だからいいけど、明後日からまた学校。あいつらには嫌でも会うだろうね。




「そういうば、君なんていうの?名前教えてくれない?」




恭也さんがベッドの脇に腰を下ろした。鈴夜さんはベッドの上で胡座をかいている。視線はばっちりこちらに向けられていた。




「田沼 澪(たぬまれい)です。えっと、よろしくおねがいします…」



ベッドの上で正座をし、深々と頭を下げた。これでも助けてもらった身…。ちゃんと感謝しなければ。


ま、その助けた本人が襲ってきたんだけど…。あの人のおかげで私はいるから、こんな貧相な体で返せるのならましな方じゃない。






「澪ちゃんね。よろしく。俺は三重野 恭也(みえの
きょうや)。で、こいつが鈴夜 龍司(すずやりゅうじ)。見た目は冷酷非道な感じだけどいい奴だよ」

「おい。冷酷非道ってなんだ」



そうか…。鈴夜って名前じゃなくて名字だったのか。



「恭也様。知ってますよ、いい人って」



だって…



「私を助けてくださいましたもの。だから、知ってます」



私は自然と頬が緩んでいた。冷酷非道なら私みたいな人を助けるはずがない。

人はみんな見て見ぬふりをする。けど、この人だけが私に救いの手を差し伸べてくれた。だから、知ってる。


鈴夜さんは本当は優しくていい人なんだって。



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