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医）「事故前後の記憶がちょこっと消えるっていうのはよくあるんだがねェ。彼の場合自分の存在自体も忘れてしまったみたいだね。少し厄介だな」


そ、そんな。
銀さんが記憶喪失なんて・・・


あたしは悲しみのあまり目に涙をためる。


医）「人間の記憶は木の枝のように複雑に絡みあっている。その枝をざわめかせれば他の枝もじょじょに動き始める。まァ、焦らず気長に待ちましょう」


お医者さんはそれだけを言うと病室を出で行いった。



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銀さんは意外にもすぐに退院でき万事屋に戻って来た。


銀）「万事屋銀ちゃん。ここが僕の住まいなんですか？」


新）「そーです。銀さんはここでなんでも屋を営んでいたんですよ」


銀）「なんでも屋・・・駄目だ。なんにも思い出せない」


神）「まァ。なんでも屋っつーかほとんどなんにもやってないぷー太郎だったアル」


悠）「ちょ、神楽ちゃん！！」


銀）「ぷぅぅぅ！？この歳でぷぅぅぅ！？」


神）「おまけに年中死んだ魚の目をしてグータラ。生きるしかばねのような男だったアル」


お登勢）「家賃も払わないしね」


キャ）「アト、オ登勢サンノオ金強奪トカシテマシタヨネ」


新）「それはお前だろォ！！」


悠）「どうですか銀さん。なにか思い出せそうですか？」


銀）「いや、なにも。つか、あんまり思い出したくないんですけど・・・」


銀さんは辛そうに頭を押さえながら言う。


銀さんなんだか辛そう・・・
そうだよね。
なんにも分からないと心配になるし辛くもなる。
あたしも銀さん達に会う前の記憶がないからよく分かる事。


ならあたしが銀さんをしっかりサポートしなきゃね！！


あたしは意気込む。


悠）「あの、銀さん。あたしも銀さんと同じで記憶がないんです」


銀）「え？悠さんも？」


悠）「はい。なので記憶が無いとすごく不安だったり辛くなるのはよく分かります。だからあんまり無理はしないでゆっくり思いでして行きましょう。お医者さんもいってましたし。それにあたし記憶無くても今こうやって楽しく生きてますし銀さんならやっていけますよ」


あたしはニッコリ銀さんに頬笑みかける。