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銀魂

第25章 ミルクは人肌の温度で

房)「橋田屋なんて好きしてください。でもその子は私の子です」


橋)「クソ、いまいましい女め。私から息子を奪いあまつさえ勘七郎も橋田屋までも奪う気か」


房)「子供を抱きながらそんな事を言うのはヤメテください」


橋)「バカな。こんな赤ん坊になにが分かる」


房)「覚えてるんですよ。どんな乳飲み子でも。特に優しく抱かれている時の記憶は・・・勘太郎様はよくおっしゃってました。そこに花がたくさん供えてあって綺麗な女の人の写真が飾ってあって・・・」



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(回想)


これは橋田の妻が死んだときの話・・・


橋田は妻の前で自分の子供・・・勘太郎を抱きながら妻にポツポツと喋り始める。


橋)「大丈夫さ。お前がいなくともやっていけるさ、私たちは。飯も私が作る。オシメも・・・まァ、勝手は分からんが何とか取りかえる。だから安心していくといい。勘太郎と橋田屋は私が護るよ・・・」

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房)「・・・・・・それで貴方はこんな事をやっているのですか?こんな事をして勘太郎様や奥様が喜ぶとでも?」


お房さんが話終わると橋田さんは少しうつむく。


そして、昔の事を喋り始めた。


橋)「・・・勘太郎は昔から身体が弱く病弱だった。長生きしても人の三分の一しか生きられないと医者に言われてな。だが、妻は人の三分の一しか生きられないのなら人の三倍笑って生きていけるようにと・・・蝉のように短くても腹いっぱい鳴いて生きて行けばいいと・・・そんな事を言っていた。だが、私は妻ほど利口じゃ無くてな。勘太郎を、医者を腐るほど雇って檻の中のでも入れるように息子を育てた。・・・どんな形でもいい。生きていて欲しかった。妻にも息子にも・・・だが、結局みんな泣くなてしまったがな。私は結局約束を一つも・・・」


橋田さんが悲しそうに語り終わると赤ちゃんが橋田さんの顔にスッと手をあて、「もふっ」と言った。


橋)「勘七郎・・・」


房)「なくしてなんか無いじゃないですか。勘七郎は私の子です。でも、まぎれもなくあなたの孫なんですよ。だから、今度ウチに来る時は橋田屋の主人では無くて・・・ただの孫思いのおじいちゃんとして来てください。茶菓子ぐらいは出しますから」


橋)「うっうっ」


お房さんの話を聞いた橋田さんは声を出しながら泣いた。

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