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銀魂

第29章 僕が僕であるために

〜Free side〜


悠と誠ちゃんが異菩寺にカレーを運びに行って数分、天狗党は新たなボードを真選組へと掲げた。


そのボードには『局長を斬れ』という文字が。
ボードを見た土方、沖田は少したが顔を歪ませ隊士達は口々に叫び始めた。


隊士1)「あいつら調子に乗りあがって。局長を…」


隊士2)「いい加減にしあがれ‼︎んな真似出来るわけないだろ‼︎」


通)「やめて‼︎お願い‼︎もう…キャァッ‼︎」


お通が隊士達に何かを叫ぼうとすると、天狗党のリーダーがお通の頭を柱へ押さえつけた。


天狗党)「出来なくば局長のかわりにこの女か死ぬだけ。人一人護れぬようで江戸の平和は護れぬよ。今まで我々攘夷志士を散々苦しめてきたじゃないか。江戸を護るために。こんな所でおしまいかね」


天狗党はバカにするような言い方で真選組に告げる。
それを聞いた近藤は上着を脱ぎ捨てた。


近)「よっしゃ。来い‼︎」


隊士1)「局長ォ‼︎何やってんスか⁉︎」


隊士2)「冗談やめてください‼︎」


近)「冗談じゃねーよ。…お通ちゃんすまなんだ‼︎」


近藤は顔を上げお通に話しかける。


近)「色々手伝ってもらってなんだが、結局俺たちはこーいう連中です‼︎もがいてみたがなんにも変われなんだ‼︎相も変わらずバカで粗野で嫌われ者のムサイ連中です‼︎どつやらコイツは一朝一夕でとれるムサさではないらしい‼︎だがね、お通ちゃんの言う通りもがいて自分達を見つめ直して気づいたこともある‼︎俺たちはどんだけ人に嫌われようが、どんだけ人に笑われようがかまやしない‼︎ただ、護るべきものも護れん不甲斐ない男だけには絶対になりたくないんだとね‼︎」


お通に話し終わった近藤は、次に真選組隊士達の方を見た。


近)「剣を抜けェェ、お前ら‼︎たとえ俺の屍を越えても、守らなきゃならねーモンがお前達にはあるはずだ‼︎さぁかかって来やがれ‼︎」


近藤の言葉に隊士達は腰から刀を抜き、そして一斉に近藤に向かって走り出した。


グサッ


近)「かっ…」


近藤に隊士達の刀が突き刺さると、近藤は白眼を向く。


通)「局長ォォォォ‼︎」


その場には虚しくお通の声だけが響いたのであった。

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