テキストサイズ

銀魂

第36章 女の一番の化粧は笑顔(柳生篇)〜2〜

近)「大人数を前にしても物怖じ一つせず詫び入れるどころか、たった一人で多勢相手に大立ち回り。バッタバッタ、敵をなぎ倒しいや、強ェのなんの。まァ、あの大人数相手に勝てるわきゃねェ。最後の最後、ボロ雑巾みてーになるまで暴れ続けてたがな。俺ァどうしたもんか迷ったがそいつを道場に連れて帰る事にした。そのまま捨てて置けば死んじまいそうだったし、なにより面白そうな男だったんでな」



––––––––––––––––––
––––––––––––––––––––––––


(回想)


10年ほど前。
武州にあるとある道場から数を数える声が聞こえてくる。


近)「333.334‼︎ぬぉぉぉぉ‼︎もうダメェェ‼︎もう限界ぃぃ。腕がもげるぅぅ‼︎」


数を数えていたのは、若き頃の近藤であった。
近藤は太い丸太で素振りをするという稽古をしている。


太い丸太で素振りをするのはスグに根を上げてしまうほどキツく近藤は投げていていたのだ。
そんな近藤に道場の主である近藤の父は喝を入れる。


父)「甘ったれた事言ってんじゃねー‼︎そんなんじゃいつまでたっても道場任せられねーぞ。もうスグわし死ぬぜ、多分。どーすんの⁉︎」


近)「こんな丸太で素振りなんてして意味あんのかよ‼︎もう血豆だらけなんだよ‼︎」


父)「剣術は技じゃねェ。気組みじゃボケェェ‼︎これだけの剣(のも)を振っていればしぜん筋も違ってくる。こんも植えつけられる‼︎小手先で振るな。呼吸を練って体(てい)ごとさばけ‼︎総悟を見てみろ‼︎あんなちっちェのにあんな太ェの振り回してんぞ‼︎スゴくね⁉︎」

近藤の父は総悟に目を向ける。
総悟は近藤よりも太い丸太を「ふんっふんっ」と勢いよく素振りをしていた。


しかしなぜか段々丸太の箸がペラペラとめくれ始めたのだ。


父)「やっぱすげーな。お前、わしが見込んだだけあるわ。神童だよ、神童。ん?あれ、なんかめくれてきてね?アレ?ってかコレただの木の皮じゃね?」


この事に気が付いた近藤の父は総悟を追いかけ始め、総悟は華麗に逃げていく。


その様子を見て呆れた近藤はため息をつく。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ