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銀魂

第10章 便所で生まれるものは汚れたものばかり

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ザッザッ。


俺は真っ暗な空間でハム子に肩を貸しながら歩く。


ここは一体どこなんだ?
全く分かりやしねぇ。
なんか目印でもらりゃぁいいんだが…。


銀)「おい、大丈夫かハム子。絶対死なせねェからふんばれ」


俺はそんな不安をかき消すようにハム子に喋り掛ける。


「捨てちまえよ」


銀)「あ?」


俺は突如聞こえてきた声に反応する。


「そんなもん背負ってたらてめーも死ぬぜ。どーせそいつァ助からねェ。今まで一度も大切なモンを護りきれなかったおめーにゃ誰かを護る事なんかできねーんだよ」


銀)「………」


俺は聞こえてくる声を無視するかのように無言になり足を進める。


この声に耳を傾けるな。
耳を傾けると俺は弱くなる。
耐えろ。
大丈夫だ。
大丈夫。


俺はちゃんとハム子を護れる。


…本当に?
本当に俺はハム子を助けられるのか?


そんな証拠どこにある?


人を切って切りまくった俺が。
あの人を守れなかった俺が。


本当に人を守れるのか?


俺は足を止めて考える。



わからない。わからない。わからない。
俺なんかに人を護れるのかが…。


グググ。


俺の立っている位置がどんどん沈んでいく。


銀)「くっ‼︎ちくしょう‼︎」


もがいてももがいても一向にふんばれない。



このままじゃぁ飲み込まれちまう。
早く、早くここからでなければ。


銀)「ちっ…うわぁぁ‼︎」


そんな俺の気持ちとは裏腹に俺は完全に闇に飲み込まれた。


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銀)「はっ‼︎」


ガバッ‼︎


俺は勢いよく起き上がる。


な、なんだ。
夢か…。


俺は口から垂れているヨダレを拭きながら辺りを見渡す。


俺の寝ていた布団と俺のいる場所は全く見覚えのない物だった。


どこだここ。


桂)「ガラにもなくうなされていたようだな…昔の夢でもみたか?」


そう言いながら桂が入ってきた。


銀)「ヅラ?なんでてめーが…そうだ‼︎」


俺は悠達が拉致されたことを思い出し立ち上がろうとする。


だが身体中に激痛が走りできなかった。

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