二面性*マクガフィン
第1章 プロローグ
「あーもうっ!つまんない!」
椅子に座り、腕を天井に伸ばしている人の叫び声が教室に響く。
相葉雅紀。
それを右隣で聞いている人、
「相葉さん、それ…何回目ですか? さっきからずっと言ってますよね…?」
彼に聞こえない程の軽いため息。
二宮和也。
ゲームを慣れた手つきで進めている。
「何回目って……そんなの知らないよー…」
力が抜けるように スッ…と腕を下ろすと、目の前にある机にうつ伏せになった。
すると、声がこもっているように聞こえてきた。
「だって……つまんないんだもん」
「確かに、暇だよな」
雅紀の左隣に座って本を読んでいる人が声を発す。
櫻井翔。
本を片手に集中しながらも、先程まで何もせずにただ叫んでいた雅紀の発言に、同感と頷く。
目を動かしながら丁寧にページをめくった。
「………………」
そんな3人の会話を正面で黙って聞いている人。
松本潤。
ハァー…と、長い息を吐く。
椅子に座って足を組み、人差し指で机の上を一定のリズムで叩いていた。
多分この人も、暇だー…と、内心思っているのだろう。
黙ったままの彼は、3人から視線をそらす。
「!?…」
何かに反応。だが、そんなに驚かない。
「どーしたんですかー…、Jさん?」
耳に入ってくる声。いかにも他のことに夢中になりながらのものだ。
そんな言葉の主に応えるように、
「ニノー……リーダー寝てるぞ…」
その言葉で、頭ゲーム一色だったニノがピクッと反応。
一瞬顔を上げ、潤の言う寝ている人に視線を向けた。
その人は潤の隣に座り、机の上で居眠り。
「…………ん〜…」
大野智。
授業はほぼずっと寝ている人。今も気持ち良さそうな寝ている。
彼が頭だけの寝返りをすると、
「……いつものことですよ」
視線を落とし、ゲームの世界に戻った。