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マシュマロボイス

第9章 今を動かす気持ち

現実と向き合う準備は出来てる。

だけど、辛い。
人に言えないけど、辛い。

「─れ─たよ」

右耳だけだと、途切れ途切れの声しか聞こえない。

「相葉」
「ど───の?」

「…怖い、怖いよ……」

告白するつもりだったのに。
現実が俺を襲ったんだ。

「──の─や─ん…」
「相葉の声、聞かせて…」

体が固まって、左耳すら相葉に向けることが出来なくて…。

虚しくなった。

涙が落ちそうになって、怖くて…。
固まってる体を震わせて…。

俺、どうしたらいいの?
助けて。相葉、助けて……。

声にならない叫び。

─ちゅ。

濡れた音が耳元でした。
その直後相葉の声がしっかり聞こえた。

「大丈夫だよ、安心して」

その言葉にうるってキちゃって。
涙が溢れた。


「二宮君、俺の声…聴こえる?」


必死で「うん、うん」って頷いた。

「よかった…」

後ろから手が伸びてきて、
俺の涙を手で拭ってくれたんだ。

俺が、泣いてるのに気付いてた。

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