テキストサイズ

マシュマロボイス

第9章 今を動かす気持ち

「あ、ごめん…」

俺の耳を撫でる手を引っ込めた。

「耳…聞こえない……」
「え?」
「だから……」

相葉の目をしっかりと見据えて、
額にちゅっと唇を落とした。

「もっと…相葉の…声聞かせ、て?」

“額にキスしてしまった”

その恥ずかしさが
今になって込み上げる。

「二宮君っ」

ギューって抱き締められて、
ちょっとだけ苦しかった。

だけど、不思議だな。
その苦しさも、愛しい。

「俺の声、カッコよくないよ?」
「ううん、カッコいい」

「ガサガサだよ?」
「ううん、ガサガサじゃない」

「…可愛くもないよ?」
「ううん、可愛い」

「…えっと」

どうやら弾切れの様子。
そんな相葉に声をかけた。



「俺は相葉の声も好きだよ」



さっきのお返しにギューって、
抱き締めてやった。

「…」

相葉は、「苦しい」とも言わず、
何故か黙りこんでしまった。

「相葉?」

顔を覗こうと、離れようとしたら
「離れないで」って言うみたいに

ギューって、強く、抱き締められた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ