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マシュマロボイス

第10章 残り一時間

電話が切れて、リビングに降りる。

「あ、ケーキ食べる?」
「俺の唄、誰かに言った?」

母さんの顔色が変わった。
少し白くなった気がした。

「言ってないわよ」
「本当に?」

今までで一番、態度が悪いかも。
きっと怒りに満ち溢れて、威圧的になってる。

「…本当」
「嘘なんてつかないでよ」
「…」
「俺の友達が知ってた」

「え?」

今度は、青褪めてた。
気なんかじゃない。

「なんで?」
「…」

「母さんは──」

ポケットの携帯が着信を知らせた。

「…もしもし」
『櫻井です』
「え?なんで櫻井が?」

ガタン。

母さんが持っていたマグカップを、
床に落としていた。

「え?母さん?」
『ん?どうかした?』

「あ…手が滑っちゃった」

無理に笑っていた。けど、俺は…。

「…そう」

そう言った。

『どうかした?』
「いや、なんでもない」

『そ。雅紀から、聞いたか?』
「うん。今から聞こうとしてた」

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