マシュマロボイス
第10章 残り一時間
『そっか…』
「ちゃんと聞いて、連絡する。相葉から俺の連絡先聞いたんでしょ?」
『ごめん、よろしく』
「うん」
電話を切って深呼吸をした。
「…電話、相手は誰?」
母さんが聞いてきた。
なんで聞くんだろって思ったけど…
「櫻井って友達」
「名前は?」
「翔、だけど」
「……そう」
聞くだけ聞いて、その反応かよ。
ダメだ。イライラしてきた。
「母さん、“フクロウ”なの?」
「…」
「ねえ、答えてよ」
「…」
「母さん!」
ビクッと母さんの体が跳ねた。
「“フクロウ”は母さん?」
「…」
「ねえ」
黙ったままの母さん。
顔色が優れない。
「…」
「…」
「右耳は?」
「え?」
急に話を逸らされた。
「右耳、大丈夫なの?」
「もう、ダメだよ。病院行ってくる」
「そう」
「…」
「…」
「“フクロウ”」
「…」
「母さんなの?」
「…」
この日、母さんがこの質問に答えることは一回もなかった。
「ちゃんと聞いて、連絡する。相葉から俺の連絡先聞いたんでしょ?」
『ごめん、よろしく』
「うん」
電話を切って深呼吸をした。
「…電話、相手は誰?」
母さんが聞いてきた。
なんで聞くんだろって思ったけど…
「櫻井って友達」
「名前は?」
「翔、だけど」
「……そう」
聞くだけ聞いて、その反応かよ。
ダメだ。イライラしてきた。
「母さん、“フクロウ”なの?」
「…」
「ねえ、答えてよ」
「…」
「母さん!」
ビクッと母さんの体が跳ねた。
「“フクロウ”は母さん?」
「…」
「ねえ」
黙ったままの母さん。
顔色が優れない。
「…」
「…」
「右耳は?」
「え?」
急に話を逸らされた。
「右耳、大丈夫なの?」
「もう、ダメだよ。病院行ってくる」
「そう」
「…」
「…」
「“フクロウ”」
「…」
「母さんなの?」
「…」
この日、母さんがこの質問に答えることは一回もなかった。