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マシュマロボイス

第10章 残り一時間

「…はあ?」

昼休み、本を読んでる俺に櫻井が。

「だから、今日家に遊びにいきたいって言ってるの」
「なんで、今日なの」

「音源のプレゼント」

櫻井が差し出したのは、
ケースに入ったCD。

「え、本当?」

パッと取ろうとしたら、
ヒョイって取らせてくれなかった。

「本当。だから、家に連れてって」
「…わかった」

櫻井は俺の部屋が見たいらしい。
まあ、職場を見たいと。

「楽しみだわー」
「汚ねえからな」
「わかってるよ♪」

俺の何をわかってるんだよ。

なんて、言い返したかったけど、
仲悪くなるのが嫌だから言わなかった。

「あ、いた!二宮君!」

飛ぶように来たのは相葉。

「どうしたの?」
「ううん、どうもしないよ」

「どうもしないのに来たの?」

薄っすらと笑うと、
向日葵級の笑顔を見せてくれた。

「二宮君、今日一緒に帰ろ」
「うん。いつも帰ってるでしょ?」
「そうだけどー」

相葉と付き合ってから、潤君に
『なんか可愛くなくなった』と、
言われた。

可愛さなんてわかんないし。

「二宮君」
「ん?」

腕を引かれて、相葉に右耳を向ける。

「今日も可愛いね♡」
「っ!」

顔が真っ赤になっていくのが、
自分でもよくわかる。

「ちょ、あ、相葉っ!」
「へへ、ごめんごめん♡」

…確信犯かっ。

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