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マシュマロボイス

第2章 風に包まれてた

「翔ちゃん?」

そろそろ腕が痛くなって、
翔ちゃんに目を向けた。

「あ、あ…ごめん…」

パッと放してくれて、
その掴まれていた腕を大野に掴まれる。

「じゃ、行こうか」

ほんわかした笑顔で、俺の手を引きながら廊下を駆けた。

「大野」

「なに?」

走りながら、大野に問いかける。

「なんで、“子守唄の子”が転校してくるってわかったの?」

「ん?声だよ、声」

角を曲がると、大野がよろけて俺に凭れるように倒れてきた。

それにつられて、俺も尻餅をついた。

「え、どうしたの?」
「……」

大野が見上げる先には小柄の男子が
立っていた。

「ご、ごめんなさい」

全然謝らない大野の代わりに、
俺が謝った。

どうしても、空気が重たくて…。

「…」

小柄の男子が、
しゃがんで俺に左耳を向けた。

聞こえなかったのかな?

「ごめんなさい」





「あ、うん。大丈夫」





紛れもなく、あの声だった。

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