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マシュマロボイス

第2章 風に包まれてた

「──ね?」

ほとんど、話が頭に入ってない。

だけど、二宮君と仲良くなったことには変わりないらしい。

大野は、二宮君のことを『ニノ』。
二宮君は、大野のことを『智』。

そう呼ぶことに決めたらしい。


「やっぱり、いい声なんだよー」

大野がため息と一緒に吐き出すように
言った。

「眠くならないの?」

“子守唄の人”なんて言ってる位なんだから隣で声を聞いてるだけで
眠たくなっちゃうんじゃない?


「“ホンモノ”を間近で見たら、眠気なんて起きないんだよ!」


はっきり言い切った大野。
俺は、ただ固まってしまっていた。

「相葉?」

立ち上がった大野は、エナメルバックを肩からかけて
俺を見下すみたいに見下ろした。

「──え?」

また、聴こえた。
“あの声”だ。

「なに、どうしたの、相葉」

俺も立ち上がって、
周りを見渡しながら二宮君を捜す。

「え、いや……用事思い出したから帰るね!」

微かに聴こえた声を頼りに、
俺は走った。

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