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マシュマロボイス

第16章 揺れる心映す様に

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「皆、ありがとう」

ファミレスに集まった。
翔ちゃんは皆が集まるとお礼を言った。

「んな、大袈裟なあ」
「で、どうしたの?」

二宮君と大野が合わさると、
何とも緩く癒される。

「皆、二宮の右耳の件知ってるよな?」

俺達五人は、全てを知ってる。

二宮君の右耳が聞こえなくなること、
二宮君と翔ちゃんが兄弟ということ。

『隠す理由なんてないもん』

そう言って淡々と語ってた。

「実は、俺もなんだ…」

コトッ…。

音を立てて机に乗ったのは、
補聴器だった。

「「え?」」

三人の声を重なった。

「俺は左耳」

皆、声が出なかった。

「櫻井、それ本当?」

訊いたのは二宮君。

「マジかよ…」

呟いたのは大野。

「双子だから?」

核心を突いたのは潤君。

「……。」

何も言えなかったのが俺。
「え?」とも言えなかった。

俺が一番、
翔ちゃんと過ごした時間が長いのに。

何も知らなかった。

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