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マシュマロボイス

第3章 あの日からちっとも変わらない

先生は言葉を濁した。


母親もちゃんと教えてくれなかった。

だから、自分から聞いた。


「もう、長くないんでしょ?」


問いかけると、
母親は泣き崩れて俺に謝った。

何度も、何度も、何度も。
「ごめんね」って。

だけど謝られても、
俺は困るだけだった。

耳が聞こえなくなるのは、
悲しいと思う。





誰の声も聞こえない。
何の音も聞こえない。

自分の声も聞こえない。





最近は、一時間に数回
音が遮断される。


その事を先生に話すと
先生は少し微笑んで


「補聴器、着けますか?」


俺に大きな希望をくれた。



「母さん」
「なに?」

「俺、補聴器着けたい」

「え?」


「補聴器を着ければ、音が遮断される回数が減るし、
なにより完全に聞こえなくなるまでの期間が延び―」



「いいわよ」



いつだって、母親は俺の味方で
いてくれたんだ。

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