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マシュマロボイス

第5章 届かないこの声も-前編-

「俺のこと?」

相葉が、なんて呼んだらいいのか聞いてきた。

「うん…ずっと二宮君って呼んでたから
なんか他の呼び方……」

俺のこと、君付けで呼んでるの!?
まずその事にビックリした。

「いいよ。そのままでも」
「え?いいの?」

「俺だって、呼び方決まってないし」

相葉?相葉君?
雅紀?雅紀君?

「二宮君の好きなように…」
「んー、どうしよ…」

相葉は、思った通りの人だった。
純粋で、単純で、天然。

「相葉…で、いい?」
「うん!」

あと、笑顔が向日葵みたい。

「じゃ、俺B組だから…」
「あ、うん。またね」

相葉は、A組。
A組とB組の間には階段があるから
右と左に別れることになる。

もう少し、相葉と喋ってもよかったかな

教室の時計はいつもより早い時間を指していた。

教室を出ようとしたら、
潤君が教室に入ってきた。

「あ、おはよ」
「カズ」

ギュッて抱き締められた。

「潤君?どうし──」
「好きだ、好きだ好きだ好きだ」

「えっ、ちょ、恥ずかしい…♡」

朝から幸せに満ち溢れる。

「カズは?」
「好きに決まってるでしょ?」

俺には潤君しか見えてないよ?
俺を一番に理解してくれて、隣を一緒に歩いてくれる。

嫌いなわけないでしょ。

「カズ、今日は俺ん家来てよ」

久しぶりの潤君の家のお誘いだった。

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