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マシュマロボイス

第5章 届かないこの声も-前編-

「……じゃあいいよ」

大野が拗ねた顔をして、
どこかに行ってしまった。

そしたらなんか空気が抜けちゃって
その場に座り込んだ。

「ふぅ…」

涙は止まってくれてた。


「……相葉」


急に名前を呼ばれてビックリした。
だから、バッて振り返った。

立っていたのは、潤君だった。

「じゅ、ん君……」

また、声が出なくなった。

「…き、聞いて…」
「聞いてたよ」

潤君は、笑ってた。
そしたら、手を差し出された。

どうすればいいのか、分からなくて迷っていたら
俺の手を引いて立ち上げてくれた。

「あ、ありがと…」

「にしても、サトシも酷なことするよなあ」

俺の制服に付いたゴミをパタパタ落としながら苦笑いをした。

「……」

俺はなんて返したらいいのか、
分からなくて黙ってた。

「カズのこと、俺もまだよく分からなくてさ」

「え?」

「一番、カズが大切だし、傍にいて支えてあげたいし……けどな」

潤君が戸惑いがちに口を開いた。

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