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マシュマロボイス

第5章 届かないこの声も-前編-

「サトシ曰く、俺とカズは
“本当の好き”を知らないんだと」

寂しそうに、悲しそうに、笑った。

「俺は、どうしたらいいんだ、ろうな」

今度は、泣きそうな表情で笑った。

「相葉、ごめん…」

なぜか、謝られた。
謝られた理由は、しばらくしてから分かった。

俺は、潤君に抱き締められてた。

強く

「重いよな…」

強く

「あんなこと言われちゃ…」

強く

「どうすれば、いいんだ…?」

……儚く。

潤君が迷うのはよく分かるよ。

だって、セフレだろうが大野が嫌いで抱いてた訳じゃないんだから。

そんな人にそんなこと言われたら……

俺なら、耐えられない。

潤君は、歯を食いしばって耐えてんだ。
誰にも言わないで、
弱さすら見せれなくて。

「潤君…頑張れ。潤君なら大丈夫」

さっき、潤君が強く俺を抱き締めたように俺も抱き締めた。

「うっ…」

潤君の苦しそうな声はHRを知らせるチャイムまで続いた。

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