テキストサイズ

マシュマロボイス

第6章 届かないこの声も-後編-

「シッ!」
「あ、ごめん」

二宮君に『黙れ』と言われた。

「相葉にだけ、教えてあげる」

微笑んだ二宮君は、俺にパソコンの画面を見せた。

「これ、俺の“唄”」

見せてくれた画面には、
いくつものフォルダがあった。

「え、コレ全部?」
「うん」

二宮君がイヤホンの片耳を
俺に手渡したんだ。

「あ、聴いていいの?」
「いいよ──だし」

「え?」

「ううん、何でもない」

聞き逃したけど、二宮君が何でもないって微笑んだから
何とも思わないで、右耳にイヤホンを取り付けた。

「好きな曲、聴いていいよ」

二宮君がマウスを俺に渡した。

「え、あの唄が聴きたい。
『ひらひらと』ってヤツ」

「アレ?てか、あの唄知ってたの?」
「うん、あの唄好き」

二宮君がマウスを動かして、
『season』のフォルダをクリックした。

そしたら、ピアノの音が聴こえて、
そのあとに、二宮君の声が聴こえた。

その声は、あまりにも透き通った綺麗な声だった。

横を見ると、照れくさそうに笑ってた。

けど、涙目だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ