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マシュマロボイス

第6章 届かないこの声も-後編-

二宮君の視線の先には、
潤君と大野がいた。

二人とも二宮君の視線には
気づいてない。

「だ、だめ!」

頬をムニッと掴んで、無理矢理
俺に視線をむける。

二宮君が明らかに
不機嫌な顔をしている。

視線が「離せ」と訴えてる。

「え、いや…でも!」

「……何にも言ってないでしょ」

「離せ」から「ウザい」に変わっていそうで怖い。

「で、でもさあ…」
「いいよ、気ぃ遣わなくて」

手を払って空っぽになったコップを
持ってドリンクバーに駆けていった。

そしたら、大野がチラッと二宮君の後ろ姿を見たあと俺の傍に走ってきた。

「バレちゃったね♪」

楽しそうに言ってきた。

大野の腕を引いて、少し顔を近付けて
小さい声で言った。

「なんで、いるんだよ!」

そしたら、大野も小さい声で言った。

「たまたま♡」
「何だよ…それ…」

“怒り”と言うよりも
“呆れ”の方が強かった。

「でも、進展してんじゃん」
「まあ、うん…」

進展してるのは、嬉しいけど…。
二宮君、怒ってたよ。

「まあ、頑張れ♪」

俺の肩を叩いて、潤君のいる席に戻っていった。

そして、大野が座ったと同時に
二宮君が戻ってきた。

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