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マシュマロボイス

第6章 届かないこの声も-後編-

(二宮side)

潤君と、智が一緒にいた。

二人は友達だもんね。
そりゃ、普通にファミレス来るよね。

………うん。そうだよ。

そうやって、ドリンクバーで
気持ちを落ち着かせてチラッと相葉を見ると

なぜか、智がいた。

顔を近付けて話してる。
しかも、親密そうに。

なんで?
相葉も、智が好きなの?

…『相葉も』?
違う。潤君は、智を好きなわけがない。

だって、俺と付き合ってるもん。
浮気なんて、他の人なんて有り得ない。

「みんな…智ばっかり…」

独りでに呟いた。
誰にも聞こえない小さな声で。

潤君をチラッと見ると、
大学ノートに向かっていた。

…勉強しに来たのかな。

うん。きっと、そうなんだ。
やっぱり、浮気じゃなかった。

軽くなったはずの心を、奮わせながら
相葉の元へと戻った。

「あ、二宮君…」

相葉は明らかに動揺してた。

まあ、俺も明らかに不機嫌な態度を取ってたけど…。

「二人で、勉強してるみたいだね」
「…あ、そう、なんだ…」

目を合わせると、ビクッて動いて
目を逸らすんだ。

本当、分かりやすいなあ…。

こんな人に、耳のことなんて話せるはずがない。

いつ、どこで、誰に話されるか分からないからね。

「二宮君」
「何?」


「潤君のとこ、行ってきたら?」

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