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マシュマロボイス

第6章 届かないこの声も-後編-

もの凄く気まずくて、
この店から出ていきたくなった。

だけど、相葉一人残すのも悪いし…。

何より、お会計あるし。
まさか、相葉に奢ってもらうなんて…。

無理、無理無理無理無理無理!

相葉は、駄目。
甘えられないって!

「ニノ、相葉とデート?」
「へっ?」

智の声に反応したのは、
俺でもなく、相葉でもなく、潤君だ。

「ち、違うよ!」
「相葉と、デートなんてしないよ」

…今、酷いこと言ったかも。

咄嗟に相葉を見ても、あんまり気にかけてないみたい。

……良かった。

「へー、違うのか…。俺は潤君と─」
「お、大野!ちょっと、いい、かな」

智の言葉を遮って、相葉が喋った。

「え、ちょ、え?相葉?」

智は、相葉に連れられて、
そのままトイレの突き当たりに連れていかれてしまった。

必然的に、潤君と二人きりになった。

「…智と、デート?」
「え、ち─」

「違くないよね?」

見てたよ。

笑顔で、智と喋ってた。
俺には見たことのない顔で笑ってた。

それが、決定的な証拠だった。

さっきまで、勉強会だって思い込んでたけど。
その笑顔見ちゃったら……。

駄目じゃんか。

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