テキストサイズ

マシュマロボイス

第7章 二回のwink

相葉の背中は大きい。

だからかな?
“頼れる男”に見えるのは。

「──い」

思うように声が出なかった。
声も小さくて、相葉にも聞こえてない。

「あ、相葉!」

大きい声を出した瞬間、
トンネルの上に電車が通った。

また、声を掻き消された。

今度は自身のせいではなく、電車の大きい音のせいだ。

電車が通った音で、相葉が振り返ってくれたんだ。

そのとき、相葉は自分の後ろに俺が歩いてないのに気付いたみたい。

そのまま、走って俺に寄ってきた。

「二宮君、どうかし……
あっ、やっぱり怒ってるよね……」

自分を責めないでよ。
相葉のせいじゃ、ないでしょ?

全部、智と関係を持った潤君のせい。

「…行かない」

「え?」
「潤君のとこ、戻んない」

甘えるように相葉の裾を摘まんだ。

「え、でも…」


「本当に!会いたくない…」


「……二宮君」

相葉が俺の頭を撫でてくれた。

「お願いだから…二人でいて…」

とても大きい相葉の優しさに
漬け込んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ