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土砂降り

第7章 7

「なお?眠いの?」

あんだけ動いてピンピンしてる春樹が信じられない。

頭を撫でてくる春樹の手が、更に眠気を誘う。

「僕もうダメ。起こさないで。」
そう言って目を閉じる。

「はいはい。
なおの我儘はなんでも聞くよ。
お姫様の近くに居たいからね。」

眠りに付きながらも夢の中で考えていた。

僕は誰の気持ちも理解できていない。春樹の気持ちも。健人の気持ちも。

自分の気持ちさえ理解できていない。

僕の幸せも、僕の世界も、それらを形成しているのは
もしかしたら僕では無いのかも知れない。

僕はただこの世界の中心にいるだけなんじゃないか。

夢の世界でも僕は本を読んでいた。
本を読みながら本の中のセリフのような事を考えていた。

そういえば最近は余り本を読んでいない。

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