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土砂降り

第13章 13

旧館の図書館に行かなくなって2週間がたった。
本を補充したい。となると人が多いのを我慢して新しい方の図書館へ行くしかない。

まぁ折角だし新しい本をいくつか借りようかな。

数えるほどしか来た事のない、まだ新しい図書館には暑さをしのぐ目的か大人数で来ているグループがいくつもあった。

新しい木の匂いがする。
取り敢えず本を5冊見繕って、空いた席に腰掛ける。
本を開くけど全く落ち着かない。
煩いわけではない。話をしている人はいるものの気を使って小さな声で話をしている。

しかしそれが裏目にでるというか、逆にコソコソ声が耳についてしまう。
教室で周りがうるさくても本に集中出来るけど、コショコショした話し方に違和感があって気になって仕方ない。

重いけど持って帰って読むかなぁ。
はぁ。と溜息を漏らしながら周りに目を向けると、1人の男の子に目がとまる。

1人がけの椅子に深く腰を沈めて本を読んでいる、なんというか、こぅ、綺麗な男の子だった。

細長い脚を綺麗に組んで、肘掛にに左肘を乗せて重心を傾けて座っている。

身体の傾きに合わせて流れる髪の毛は、僕のとは違ってサラサラの黒髪ストレートヘアだ。

僕は帰るのを止めて彼の隣に座る事にした。

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