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土砂降り

第13章 13

僕が座ってもピクリとも反応しない。
彼の顔を覗き込む。

「・・・・・。」

「・・・・・。」

「・・・あの、なにか?」

「うん。ねぇ、今暇?」

「本を読んでいます。」

「見ればわかるよ。ねぇ、暇なら僕と遊ぼうよ。今日だけ。いいでしょ?」

彼の荷物を無理矢理鞄に押し込んで腕を引っ張る。
直感的に思ったんだ。押せばイケるって。

「は?あの、ちょっ、大久保先輩っ!」

そのまま勢いに乗って図書館をでた。

「うわぁ、暑いね。僕の名前知ってるんだね。」

「名前は知ってます。最近急激にクラスの女子に大久保先輩にフられる子が続出してますから。そんなことより何処に行くつもりですか?」

「ふーん。何処行こうか。暑いし、僕んち行こうか。本いっぱいあるから読みたいのあったら貸してあげるよ?」

「本ですか。取り敢えず腕を離してください。ここまで来たらもう逃げませんから。」

彼の方が背が高いので屈んでて歩きづらそうだったし、腕を離してあげることにした。

「っていうか意外です。先輩って他人に興味無いんだと思ってました。最近急激に愛想が良くなって来ましたけど人の根本って、そんなに急に変わるもんなんですかね?」

「・・僕も意外だよ。君、結構喋るんだね。しかも僕が告白フィーバー迎える前の事も知ってるんだ。」

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