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土砂降り

第1章 1

外は雨。

夕方から強い雨が降り続いていた。物音一つしないこの部屋で、雨の音が響く。
窓の鉄枠に当たる雨音が少しうるさい。

雨が弱くなるまで今日はここにいようかな、なんて考えながらページをめくる。

その時、すぐ近くの本棚の裏あたりから本が落ちたような音がした。

「うぉっ!」思わず声が出てしまった。
誰もいない図書館で自分が原因でないのに本が落ちる。
ホラーだろ?
喜怒哀楽の表現が薄いと言われる僕だって、声をあげて驚くこともあるんだな。なんて、自分で自分を分析するあたりが可愛げに欠けるんだろうな。

そんな事を思いながら靴を履き音のした方へと向かう。
すると、

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