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土砂降り

第1章 1

「ねぇ!」
突然の声に体が、びくっ!と反応する。

声の方を見ると、
そこにはなんとも男前が立っていた。男前、という言葉があっているんだろうか?
白くツルツルな肌に、ちょっとつり気味な猫目。
筋が通り細身で華奢な鼻。
赤い唇は薄く形がいい。

男前というより美人だな。
なんて思っていると、
「ねぇってば。聞こえてないの?ぼーっとして、大丈夫?君、E組の大久保くんでしょ?
大久保尚也くん。
俺、赤岩!赤岩 帝太!」

捲し立てるように言葉をぶつけてくる。
はっと我にかえった。

「あぁ。赤岩。知ってるよ。
D組だよな。体育の、ときぐらいしか接点は無かったね。」

と、答えては見たものの。
じろじろと見てしまった。というより見惚れていたのを誤魔化せたかどうか。
そればかりが気になった。
内心かなり動揺していた。

早く彼から離れたいと、定位置のソファーへ向かう。

ここに自分以外の人間が居ることに少し違和感を感じる。

足早にソファーへ戻り腰を下ろすと、なぜか彼も僕の隣に腰を下ろした。

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