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土砂降り

第1章 1

邪魔だ。こんな事を思うのは筋違いだ。ここは学校の施設でここの生徒なら誰でもこのソファーに、座る権利がある。

しかし、邪魔だ。
入学してこの場所を見つけてからというもの、誰もここには来ない。僕だけの、秘密の場所。
みたいに思っていた。

畜生。早く何処かへ行ってくれないかな。

「尚也くん!」
急に下の名前で呼ばれて、更に違和感を感じつつ。
「ん?」と
笑顔で返す。

「尚也って呼んでもいいかな?ってか此処いいね。静かで。雨だし、俺チャリだからさ。帰るの嫌だなーって、思ってウロウロしてたら此処に行き着いたんだけど。
此処、図書館だよね。旧館?なのかな?校舎の近くの図書館は新しいし綺麗で人多いよね。
でもこっちの図書館、気に入っちゃったなぁー。
俺、通っちゃおうかなっ。
好きなんだよね!本っ!
意外でしょー?」

別に意外と思うほど君の事知らないよ。と思いつつ。
通うのとか勘弁してくれよ。と思いつつ。

「いいんじゃない?此処、静かだし人なんて来ないし。集中して本が読めると思うよ。」

社交辞令で適当に受け流す。


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