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土砂降り

第3章 3

「なおの方がモテてるだろ。」

「起きてたのか?」

健人はもそもそと僕の方に向き直り、頭を腕で支えて僕を見下ろしてくる。

「なおの方がモテるのに、なおは本ばっか読んで誰も近寄らせないから自分がモテることにも気がつけないんだよ。」

僕よりも馬鹿な健人に上から物を言われると腹がたつ。

「気が付いていない訳ないだろう。告白されるたびに、あぁ。この人は僕に好きという感情を持っているんだなってちゃんと認識してる。
僕を馬鹿みたいに言うな。
告白の回数が圧倒的に健人の方が多いだろう。
健人は大雑把だから告白された人数の把握すら雑なんだよ。
まったく。告白してくる子たちに失礼だよ。」

まったく。健人は数も数えられないのか。僕の何倍も告白されているくせに。脳細胞まで筋肉なんだな。

「好きだって思ったからといって全員が告白って行動に移すわけじゃないだろ。」

「ん?ボソボソ喋るなよ。
聞こえなかった。僕の的確な指摘に文句か?」

「いや。それより寝ようぜ。兎に角ねみぃ。飯食うのもめんどくせぇ。おやすみ。」

確かに。体は怠いし、眠い。
明日の授業に差し支えるのは嫌だし寝よう。

そう思い目を閉じた。

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