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土砂降り

第3章 3

あぁ。腰が痛い。
目が覚めると1番にそう思った。

隣には健人が僕に背中を向けて寝ていた。

Tシャツと、短パン。健人が着せてくれたのだろう。
洋服を着せてもらう間、よく起きずにいられたな。
自分の眠りの深さに感心する。

布団までかけてもらって広いベッドの真ん中で僕は寝ていたのか。
まぁどんなにベッドが広くても、健人は必ずベッドの端に小さくなって寝る。

これは健人の昔からの癖だ。
そして一緒に寝るときは必ず僕に背中を向けて、背中を僕にくっつけて寝る。

体はデカイくせにその癖だけは可愛い。

健人は背が高くて運動神経が良く、明るく人懐こいので女の子にモテる。

学校から一緒に帰る途中に、健人が告白されているのを、立ったまま、ぼーっと本を読んで待っていたこともある。

「こんなガサツで天然ボケな、身体がデカイくせに小さく丸まって寝るやつ。なんでモテるんだ?」

なんて言いながら、健人がモテる理由は良くわかっている。
こいつは良いやつだからだ。

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