君のそばに
第10章 なんでもしてあげる。
暫くの沈黙。
俺に絡み付いた腕の力がだんだん弱まる。
フジ「 このままじゃ、意味ないよ 」
俺は彼の肩に手をのせて、身体を引き離した。
彼は黙ったまま、涙を流していた。
でもそれは自業自得。
俺は何故か前の"愛おしい"気持ちや、今まで何度も味わった"憎しみ"の気持ちが無くなった。
前は彼の泣き顔を見る度に、罪悪感を感じていたが、何も感じない。
フジ「 今までありがとう、明日からは普通の友達だね 」
俺は立ち上がって、俯いている彼に向かって言った。
彼は黙ったままだった。
フジ「 もう、行くね 」
俺は玄関に向かった。
フジ「 バイバイ、今までありがとう 」
最後まで、彼は無言だった。