君のそばに
第11章 優しいオオカミ
キヨ 「 はぁー、めんどくせぇな 」
そこにはオオカミの思い人の姿がありました。
フジ「 あ... 」
オオカミは咄嗟に木の陰に気付かれないように隠れました。
キヨ 「 んー!ここら辺は空気が澄んでて気持ちがいいな 」
すると、沢山の花が咲いているところに寝そべりました。
キヨ 「 ...釈似合わねぇけど、花くらい摘んでいってやるか.. 」
すると、色とりどりの花を1つ1つじっくりと選んで花束にし始めました。
フジ「 あっちの花より、こっちの花の方が綺麗たと思うんだけどな... 」
オオカミはその様子を眺めながら呟きました。
フジ「 ん?リスさんがこっちに気を引き付けるの?い、いや..それはいいよ!俺と彼は話的に仲良くしちゃまずいよ 」
オオカミは悲しげな表情をして、リスに言葉を続けました。
フジ「 俺と彼は食う食われる関係なんだよ、でもね、俺は彼を食べることなんて出来ないよ...、だから彼を無事にお見舞いに行かせて振り出しに戻るんだ 」
リスは首をかしげました。
フジ「 難しかった?つまり、俺と彼が出会わなかったら、物語は成立しない、簡単に言えば無限ループだね 」
リスは真剣な顔で話を聞き始めました。
フジ「 でも、そのループは俺しか味わってないみたいなんだ、ホントはね、リスさんとはもう何万回も合ってるんだよ 」
リスは"何万回も彼の事を木陰から見ていただけなの?"と尋ねました。
フジ「 ...うん、でもね何万回見守るだけで話せなくても、俺はそれで幸せ 」
リスは何を思ったのか、彼にどんぐりを投げつけました。
キヨ 「 っいた! 」
どんぐりは見事頭に命中し、注意を引くことに成功しました。
フジ「 わっ!!なにしてるの!?急いで隠れなきゃ...って、うわっ 」
リスはオオカミの手をぎゅっ、と握り言いました。
"このままでいいの?"、"もう、決着をつけよう"、"君が苦しむ姿を見るのは嫌なんだ"
"彼を食べるか食べないかは君次第、物語にそわなくていい、自分の物語を作れ"
と。
フジ「 ...リスさん..、うん、俺頑張るだからリスさんずっと見守ってて 」
オオカミはリスに背中を押され、彼の前に立ちました。