君のそばに
第11章 優しいオオカミ
フジ「 あ、あの...、お花摘むならこっちの方が綺麗だよ 」
オオカミは頬を赤らめながら、花の方向を指さした。
キヨ 「 あ?うわっ、まじじゃーん!こっちより断然綺麗じゃん 」
彼は目をキラキラと輝かせて、オオカミが指指す花へダイブした。
フジ「 綺麗でしょ、俺のお気に入りの場所 」
キヨ 「 ふーん、確かに綺麗だなここ、俺が入っちゃってよかったか? 」
フジ「 えっ!う、うん!もちろんだよ 」
ばちっ、と初めて彼と目線が合う。
フジ「 ( うーー、やっぱ見てるだけじゃ、声とか話し方とかわかんなかった、ありがとうリスさん )」
キヨ 「 そーいや、お前どっかで見たことある 」
彼はじーっ、とオオカミを見つめた。
フジ「 ...?それはないと思うけど..あ、オオカミだからかな? 」
キヨ 「 うーん、お前だった気がするけどだてお前オオカミか!やべ、母さんにオオカミに気を付けろって言われたんだった 」
フジ「 ...!!あ、えっと..お、お見舞いの途中だよね?もう行った方がいいんじゃないかな? 」
オオカミは彼にバレないように、微笑みかけたが、内心傷ついていた。
自分はオオカミで、彼は人間。
そう思いしらされたからだ。
キヨ 「 ん...でも、お前優しそうだから、怖くないよ 」
フジ「 え... 」
キヨ 「 お前、ここに一人でいたんだろ 」
オオカミはこくり、と頷いた。
キヨ 「 なんか、よく分かんねーけど、ちょくちょく会いに来てやってもいいけど 」
彼は照れたように頬をポリポリとかいた。
フジ「 う、うん!ありがとう 」
オオカミは嬉しそうに微笑んだあとに、悲しそうに俯いた。