君のそばに
第13章 「今日も愛してる」
彼「 なぁ、フジ 」
俺はどうすることもできずに振り向いた。
彼「 浮気していたことは認める、...お前と付き合い始めた頃からあの子とは付き合ってた 」
俺と付き合ってた時から...?
そんなの気づかなかった。
そんな素振り見せなかったし。
彼「 それにやっぱさ、俺、男だし。女だってほしくなるよ 」
確かにそうだ。
誰だってそうだ。
道行く人は男女で楽しそうに手を繋ぎ笑い合っている。
それに...。
彼「 女の身体だって、ほしいじゃん 」
その言葉を聞いた瞬間、俺の感情はログアウトした。
何も思いつかないし、何も感じない。
感じるのは、"冷たい"雨と気持ちだけ。
彼「 お前は金かかんねーし、俺を養ってくれたし?まあ、顔も女みたいで可愛いから付き合ってたけどさ 」
......ろ。
彼「 やっぱ、お前よりあの子の方が... 」
消えろ。
死ね。
フジ「 消えろ!!俺の家から荷物全部出してあの子の家でヒモになれよ!お前とはもう...! 」
その時、俺は出かけている言葉を発することができなかった。
その言葉が喉に詰まって言い出すことができない。
フジ「 お前とはもう...ッ 」
別レヨウ、ッテドウシテ言エナイノ?
彼「 もう、なんだよ...、お前"別れよう"って言えないの? 」
フジ「 ...ッ 」
彼「 ふーん、じゃあ俺が言ってやるよ 」
クソは俺に近付いてきて胸倉を掴んで、
『 もう、愛してない 』
そう一言だけ言い残して去っていった。
フジ「 う...ッ、......ッくそ...! 」
俺はその場にしゃがみ込んで泣き叫んだ。
だけど、その声は豪雨の中ではかきけされた。