
センシティブ♥ボーイ
第24章 あいつのために
そーっとそーっと近づいて耳を澄ます。
『お、おい…そんな急がなくてもまだ時間あるって』
『で、でも…っぇけほっ…ケホケホ…ッ』
『ほら、だから言っただろ?ゆっくりでいいから』
昼休みはあと40分近くある。
何をそんなに急いでいるのだろう。
とことん趣味が悪いなとは思ったけど、俺はいつのまにかタンクのそばに座り込んで聞き入っていた。
『で、も…っでも…っこれ…食べないと…』
『あと二個じゃん。まだ時間あるからできるよ』
『ほ、ほんとう…っ?』
サトゥーがこんなに話してるの初めて聞いた。
結構かわいい声してんのな。
ていうか。
何ができんの?
そして何食べようとしてんの?
『お前の母さん知らねえの?これ嫌いだって…』
『知ってる…けど…食べなきゃダメって…』
『ほら、あと一粒。』
『うう…っね、これ食べたら…約束…っ』
『約束な。ちゃんとするから。頑張れ』
ずずっとマサがいつものイチゴミルクをパックから吸い出す音が聞こえた。
