
センシティブ♥ボーイ
第30章 そっち?どっち
僕たちに突っ込まれたあと、鈴木くんのお母さんはまたじっと考え始めた。
「こういう場合って……なんていうのかしら」
「なにが」
「………どっちが彼氏なの?」
鈴木くんのお母さんはいたって真剣だ。
その表情を見てわかった。
鈴木くんのお母さんは天然って言うか……
ずれてるんだ。
圭ちゃんが貸してくれた小説にも、親が反対する下りみたいなのは何回か出てきていた。
すんなり受け入れていた小説は読んだことがない。
「彼氏と彼氏だろ。どっちも女じゃねーし」
「彼氏と彼氏………うわぁ…ビバ!!ビバ青春ね!!嬉しいわ~お母さん、聖司からお付き合いしてる紹介されたことなかったから」
そうなの……?
僕が初めて……?
こんな大事な場面なのに、とっても嬉しくなって、顔が熱くなるのがわかった。
それと同時に、鈴木くんにも昔お付き合いしていた人がいたんだって、少し落ち込む。
「あ、あの……驚かないんですか…?」
落ち込みながらも、おずおずと聞いてみると、鈴木くんのお母さんはにっこり笑った。
「そうねぇ…業界の人多いのよね。だから…慣れてるっていうか…うふふ」
ぎょ、業界の人…って…?
ああ、と納得したように頷く鈴木くんにはてなが浮かぶばかりだった。
