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センシティブ♥ボーイ

第31章 一人はダメ







「ど、ど、どうしたの…っ」



しばらく走ると、鈴木くんは僕を見てごめんと言って足を止めた。




「あいつか?ストーカー。」

「ち、違うと思うけど…全然知らない人…だし」

「じゃあなんだよあいつっ」

「僕も…初めて見たから…」



本当に何がしたかったのか不思議だ。
名前を聞かれて、タオルを渡して



「……ただ…病気かもしれない…」

「病気?」

「名前教えたり、タオルあげたら…呼吸を荒げてたっていうか…ふーふーって。
調子が悪かったのかもしれない!」

「………」


あの呼吸の荒さは尋常じゃなかった。
もしかして…調子悪いから、助けてもらおうと思って…?


だったら…僕悪いことしちゃったっ

置いてきぼりにしちゃって…!



「ぼ、ぼく…戻る…っ」

「はあ?」

「だって…あの人…あんなに呼吸が…っ」

「それは、だから、」

「死んじゃうかもっ」

「死ぬわけねーって」

「だ、だって…っあの人尋常じゃないくらい呼吸が…っ」

「さっきも聞いた。」

「ぼ、ぼく…っちょっと行ってくる…っ」

「だから、って…ああ、もーー!!だから!!」



慌てて僕が今来た道を走り出そうとすると、鈴木くんは叫んだ。



「それは、お前に興奮してたからだよ!!!!」


静かな住宅街にシンと浸み込んでいく。




「…………え゛。」



夏なのに、なんだかとっても寒気がした。



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