テキストサイズ

初カノはエロうさ

第2章 見たい!見せたい!欲張りな彼女

(そういえば、今夜は学内の部屋を借りてパーティーをするって言ってたな)

多佳子にエスコートを頼まれたけれど、正直パーティーを楽しいとは思えない。


「多佳子の今夜のエスコートはライトなんだ?」

うさこと同じ1年のライト。

俺が断ればライトに回るエスコート役。

いつも付き合わされてるライトには本当に申し訳ないと思う。


「本当なら今夜も翼でお願いしたかったのに……私の命令に背いて許されるのは、翼だけなのよ」

またそんな女王さまみたいな言い方…

わざと誤解されたいのか…多佳子も変な女だ。


「今日のドレス、なんだか華がなくて…」

「多佳子は綺麗なんだから、それだけで充分華があるよ」

「ふふっ。ありがとう♡でもね、ここに、翼からの華が欲しいのよ」

そう言って、多佳子はドレスの胸元を大きく広げる。 


……多佳子のこういうところ、母親に似てる。

ドクドクと嫌な音を立てて騒ぎ出した心臓は、俺の身体中にドロドロした醜い感情を送り始める。


「相変わらずだね、多佳子は。男除けになっても知らないよ?」

騒ぎ出す黒い感情に気付かれないように、いつものように笑って、多佳子の胸元へと唇を寄せ軽く吸い付いた。

なのに、

”ツバサ…っ、ツバサ‼︎ ”

頭の中の黒いものはその声を大にする。

振り払いたくて、思い切り吸い付けば、

「はっ…ああ、翼っ…」

興奮した多佳子が俺の頭を掻き抱く。


途端に、

(か、あ…さん……)

”ツバサ…っ、ツバサ‼︎ ”

苦しい記憶が頭の中をかき乱した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ