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少女グレイスと森の魔女

第6章 暗雲

41『密告』


「そこのダンナ、ダンナにちょいと話があるんですが…」


薄暗がりの中を歩いてゆく男に1人の男がこそこそと話しかけた。



声をかけられた男は足を止める。

「…キミは?」



「この辺りで占いをやっている者です。
実はあっしも怪しい老婆ってのを見ましたぜ。あっしのところに占ってほしいとやって来ましてねー」



「なんだと?
なら、なぜそれをさっき言わなかった?」



「その老婆に口止めをされてまして」



「口止めされたわりには簡単に喋るのだな」



「いやいや
喋るかどうかは相手の出方次第でさぁね」




「金か…
恥ずかしいとは思わんのかね?」



「何がです?
あっしは食べてくのに必死なだけですよ。ダンナにはわからんでしょうがね」



「失せたまえ
キミのような者の手は借りんよ」


男は占い師の肩を手で押しのけて歩き出す。

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