
山岸君と照井君
第12章 別世界―――……。
「麟太郎さん…僕は、別に手を繋ぐのが好きな訳じゃないですよ?
ただ――――…照井君の手が…安心するなぁ〜って…思っただけですから」
「やっぱり――――…苑君は、変わったよ―――…」
麟太郎さんの手がギュっと強く握られた――――…
しかも、“変わった”って…
「―――…変わってませんよ…」
「変わったよ――――…
エロく…セクシーになった…
私好みに育てたかったのに…
あんなガキが……苑君を変えるとか…ありえない…」
「はい…?麟太郎さん?」
麟太郎さんは、グイッと僕を自分に引き寄せると…
ポスッと…自分の胸に僕を納めた――――――…
胸に顔を埋める形になった僕は――――――…
ふと――――…照井君の胸の中を思い出していた…
だが…タバコの…香りが…
香水の香りが…
照井君じゃないって事を知らせてくる――――…
