
山岸君と照井君
第16章 自覚―――……。
「―――…宏樹のお母様って…どんな人?」
僕は、右側を歩く照井君を見る…
「明るい人だな!」
照井君は、迷わず答えた――…
「僕は…僕は、解らないんだ…
ここ何年って…会話らしい会話してないし…
母だけじゃない…
父も…兄達とも………
僕は…生まれて―――」
!!と、強く―――――…抱きしめられた!!
“生まれて来なくても…よかったのに…”
そのセリフを言わせないようにか…
照井君が僕を捕まえるかのように……
強く…強く――――…
「苑心―――――――…」
