
山岸君と照井君
第31章 愚か者―――……
「―――…送ってくよ」
「――――……」
米屋は、俺の提案に…
断らず…素直に車に乗った――…
車の中は…沈黙で…
米屋が疲れきっていたのは見て取れた…
「――――…岳心さん…
二人は―――――…?」
助手席で…
流れる景色を見ていた米屋が…重い口を開いた――――…
「――――…どちらも生きてますよ。
苑心は、父からほぼ絶縁を言い渡され……海外に留学させられました。
少年は、ケガが落ち着き次第退院でしょうが…爪が生えるまでは…不十な生活がつづくでしょうね」
俺は、車を走らせながら……
業務連絡の様に米屋に伝えた―――――…
「―――…相変わらず…
冷たい家族ですね―――…
私が…苑君の支えで―――…道しるべになったつもりだったのに…
どこで…間違えてしまったのでしょう―――――…」
「―――…そんな冷たい家族を利用したのは…貴方でしょ?
慎重になりすぎて…機会を逃しただけでは?」
俺は、少しの嫌味を込めて…
米屋を横目で見る――――…
まるで…
屍を運んでいる気分だ……
