
山岸君と照井君
第31章 愚か者―――……
車を駐車場に停めて―――…
俺は、当たり前の様に車を降りようとしたが…
米屋は、降りようとしない…
ま…意味が解らないだろうな…
弟を殺そうとした男を…自分のマンションに招き入れようとしているんだから…
「――…勘違いしないでください…
あんたは…我が家を脅迫しようとしてた…
結構な爆弾持ちなんですよ…
野放しにする訳ないじゃないですか?
そんな時限爆弾は…手元に置いておくのが――――…
一番安全だと判断したんですよ…
優しさとか…哀れみ…同情な訳ないの…わかりますよね…
我が家は冷たいんですよ?」
米屋の眉がピクリと動き…
曇った視線を俺には向けた―…
「―――…俺の中で…
あんたは…有罪なんですよ…
無条件で――――…
俺に尽くしてもらいますよ…」
俺は―――――…
うんざりしているんだよ…
あの家も――――…
お前も―――――――…
おれ自身も―――――…
愚か者ばっかりで……
