テキストサイズ

山岸君と照井君

第31章 愚か者―――……

「岳心さん…髭を剃りたいのですが…カミソリはないのですか?」




一瞬…静まり…


岳心さんの姿が揺れて…扉の前に立つ…




「俺は、髭が少なくて…カミソリで髭を剃る習慣がない……

だから…カミソリは、ないので…我慢してください」




扉のシルエットの岳心さんは腕組みをしていた―――…



「そぅ……ですか…残念」




俺は、手のひらと甲を見つめ――――…




ため息を一つついた…






岳心さんに……ことごとくペースを崩される…






苑君の面影を見つける度に―――…



ドキンと…胸が弾み…


ズキンと…頭痛がする―――…





なのに…苑君ではありえない…


嫌味な敬語に――――――…




少しだけ…救われる…






「――――…今日は、髭を諦めます…


今出ますから―――――…」




俺は、浴室を出ようとした―――…




「こら…ちゃんと浴槽にははいったのですか?

夏場だからと…シャワーで済ませてはいませんよね――…


俺が、わざわざ入れたお湯ですよ?


肩まで有り難く入ってください!」






い…イラッとした―――…


ストーリーメニュー

TOPTOPへ