
山岸君と照井君
第32章 好敵手―――……
退院の日――――――…
俺は、別館にある…ゴージャスなフロアに一人立っていた…
一度…苑心と来た…
お祖父様が入院していた病室がある棟だ…
噂を聞いてから…
何度も…ここへ来ようかと思ったが…
色々な葛藤に…柄にもなく悩み…
とうとう…退院の日に…なってしまっていた…
別に…苑心に会うわけではないから…
雷心さんとの約束はやぶらないが…
苑心のために……イギリスに着いていく人物に会うのだ…
気が引ける…
だが…
おじいちゃんに……
守れなかった事の詫びと…
苑心を見守って欲しいと…
俺は、自分が入院していた病室とは重さが違うドアにノックをした…
「はい……」
部屋の中から…おじいちゃんの声が聞こえる……
「失礼します――――…」
俺は、深呼吸し…扉を開けた――――…
