
山岸君と照井君
第32章 好敵手―――……
「――――…来てくれたんだね…
照井…宏樹君―――――…」
俺は、自分のフルネームが呼ばれた事に…
一瞬萎縮してしまった…
「―――…ご…ご無沙汰して…
申し訳ありません―――…」
苑心のおじいちゃんは、ベットには寝ておらず…
ビシッとスーツを着て…
個室に設置されているソファの前に立ち…微笑んでいた…
…“会長”っと言う肩書きが似合う…立派な紳士に見える…
苑心が一緒の時は…“おじいちゃん”ってイメージが強かったのに…
俺は、緊張で身体がガチガチになった―――…
「あ゛…ぁの…」
「今日――…退院だってな…
ホントに―――…申し訳なかった…
我が家の対応に……呆れ果てているだろう?
照井君に…なんて詫びたらいいか…」
ビクッとする俺に…おじいちゃんは、深々と頭を下げた――――――――…
