
山岸君と照井君
第32章 好敵手―――……
「―――…なぁ…
苑心の事―――――――…
まだ好きか?」
静かな…図書館――――…
聞きたかった…事を…
躊躇いも…迷いもなく聞けた…
米屋は…俺の指人に巻かれている包帯を見つめ…
ため息をつく―――――…
「――――…好きですよ」
ザワッと―――――…
背筋が凍りつく感覚がした…
「――――…でも…
私じゃ――――…ダメだって…
あの時…思い知りました…
私は、執着してしまっていただけの…愚か者だった
君より…苑君に相応しいのは自分だと…愛しているのは自分だと…
大事に…大事に育てた苑君を取られるのも…私のプライドが許さなかったし…」
